Goodbye Again

SONY ネットワークウォークマン NW-MS9

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当時は出張にはポーターブルCDプレーヤーを持って出た。このころにはすでにゼンハイザーの密閉型ヘッドフォンHD-25も持っていたはずだ。とはいっても熱心なアウドドアオーディオユーザーだったわけではなく、ソニー、ディスクマンを出張のカバンに入れるのはよほど遠くへ行くときだけだった。

2000年12月、ネットワーク・ウォークマン SONY「NW-MS9」発売。最先端のメモリーオーディオプレーヤーだ。しかしこれを持ち歩くつもりもほとんどなかった。メモリースティックの収録時間は1時間程度で、メディアはたいへん高価。CD 10数枚程度の音楽を持ち出すには実用的ではなかった。なぜ購入したかと言うと、まあそれは新しいトレンドへの関心、言い換えれば「話のネタ」ということになる。人に見せて「時代は変わるよね」と言えれば十分だったのだ。しかし、現在の目でみると当時は思いもよらなかった感慨がある。

この1年後の2001年末アップルiPodが発売される。そしてその後数年で世の中がどう変わったかはご存じの通りだ。アップルはめざましい躍進を遂げ、ソニーはこのフィールドでの主導権を失った。

 

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NW-MS9はそれまでのポータブル機器よりはるかに小型で軽量。それでちゃんとしたサウウンドが再生できる。すばらしい品質感覚、精密感。取り外しのできるガム型電池とメモリースティック。過不足のない青い液晶の情報表示窓。ストラップを取り付ける環状金具。すべてが丁寧に考えられている。まさに日本製らしい設計。カリフォルニアデザインのアップル製品と見比べるとこの製品は日本人が企画し設計した、ということが一目でわかる。ソニーデザインの一つの典型だ。ガム型電池をフル充電すると約10時間の連続再生が可能だ。

2016-05-26 | Posted in Goodbye AgainNo Comments » 

 

Nikon COOLSCAN LS-5000ED

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人知れずひっそりと市場から姿を消した商品、その一つが「フィルムスキャナー」だ。かつてはニコン、キャノン、ミノルタ、オリンパスなどの光学機器メーカーが一般ユーザー向けの製品を数多く発売していたが現在ではすべてカタログから消えた。

一見すばらしい、と思える商品やサービスでも実際に使ってみると色々と問題があって世の中に受け入れられないことがある。フィルムスキャナもその一つの例だ。画質はすばらしい。しかし実際には想像以上に手間と時間がかかり、簡単にスイスイとはいかないのだ。

家には膨大なフィルムがある。フィルム写真のデジタルスキャンはパソコンの使い方としてはたいへん魅力的でデジタルマルチメディアの見本みたいなものだ。たくさん撮ったフィルム写真をキレイに残したい、という願望は多くの人に共通だろう。家に膨大な数のフィルムがあるので早い時期からフィルムスキャナを購入して、このモデルで3台目だ。スピードは少しずつであるが着実に進化していたが、結局最後まで使い勝手は劇的にはよくならなかった。

古いフィルムは1本1本コンディションが異なる。ひじょうに調整幅の大きなコントロールソフトでほぼ完璧な画質のスキャンは可能であるが、フィルム1本スキャンするのに1時間以上かかりっきりになる。1日3〜4本が集中力の限界だ。ずいぶん作業をこなしたが最後は挫折した。フィルムをデジタル化する、という目的を達成するために結局はフィルムは写真屋に出してCD-ROMに焼いてもらうサービスを使うことにした。

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現在、海外製や低価格の簡易型フィルムスキャナが販売されているが、低価格のものは画質は良いとはいえない。どうしても家でスキャンしたい、ということであればエプソン、あるいはキヤノンのフラットベッドスキャナにフィルムアダプターを装着してスキャンする方法がある。専用フィルムスキャナよりかなり使い勝手は良いが画質は若干落ちる。何よりも大きなスペースを占有し、すばらしく便利、というわけでもないので決定打とはならない。

ニコンのスキャナは32bit版のウィンドウズ専用だ。ほとんど出番はないのだが、このスキャナを動かすためだけに古いウィンドウズ7が動くPCを残し、時々思い出したように必要な写真を処理する。家族との写真は何者にも代えがたい貴重なものだ。

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COOLSCAN 5000 ED
発売・2003年11月
価格・オープン(当時12万円前後)

2016-05-04 | Posted in Goodbye Again1 Comment » 

 

Olympus XA1

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1979年の夏。発売されたばかりのオリンパスXAをバックに押し込んでアメリカ放浪の旅に出た。
青年は荒野を目指す、というわけではないがグレイハウンドの大陸横断バスでサンフランシスコからボストンまで大陸を走り抜けた.

このカメラにはケースはない。カバーをスライドさせてカバンに放り込む。カメラの歴史を変えた全プラスチック外装だ。当時は「ちゃんとしたカメラ」は大きくて重いものと決まっていた。フィルムはたいへん高価で、しかも1本で最大36枚しか撮れない。「ちゃんとした写真」を撮るためには大きなレンズをつけた一眼レフを使うのがベストだ。

しかしオリンパスXAはポケットに入るサイズながら、精密な二重像合致式連動距離計を備え、露出は絞り優先のAE。ファインダー内にシャッター速度表示メーターがあるのでマニュアル的にも使うこともできる。レンズは5群6枚の本格的な35mm F2.8 オリンパス・ズイコーレンズ。今ではどうということのない焦点距離だが、当時としては思い切って広角に振った画角は旅行には最適だ。トラベルカメラでもありながら一眼レフに劣らなない高品位な写真を撮ることができるだろう。

価格は32,800円。当時の自分にはたいへん高価だ。出発直前までさんざん迷った。当時は治安の悪かったアメリカへのはじめてのひとり旅。最初から大きなカメラを肩から下げて歩くつもりはなかった。カメラは無しででいい。しかし発売されたばかりのこのカメラには心が揺らいだ。どうせ持っていくなら良いカメラでキレイな写真を撮りたい。誘惑に抗しきれずに出発の数日前に手に入れてバックの中に放り込んだ。

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このカメラを買うとき一つだけ躊躇した点、それは赤いシートスイッチのシャッターボタン。タッチ式電磁シャッターだ。こんなメカは見たことがなかった。触れるだけのフェザータッチのシャッターは時代の変化を実感するには充分であったが、いかにも頼りなく、経年変化に耐えられないと思った。そう遠くないうちに動作しなくなるだろう。しかし使ってみると全くエラーを起こすこともなく信頼性が高い。改めてバッテリーを入れると40年を経た現在でも正しく動作する。当時の工業製品の品質にかける情熱の一端を見るようだ。

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1979年7月 Powell street /  San Francisco
Olympus XA  Kodacolor II

アメリカ横断の大旅行は約1ヶ月半かけて東海岸のボストンまでたどり着いた。まさに見るもの、聞くものすべてが新鮮で忘れがたい経験だ。その旅行を記録したい、少しでも良いカメラで、との思い出持ち出したオリンパスXAであったが、あまり写真は撮らなかった。まわりのすべてが目新しくて写真どころではなかったのだ。今の自分とはずいぶん違うな、と思う。写真は残っていないが当時の記憶は鮮明だ。

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1970年代中頃まで、コンパクトなカメラ、といえば「ハーフサイズ」カメラだ。1960年代末に発売されたこのキヤノン・デミ。父は写真への理解が深かったが、実にものぐさな性格で手軽で小さいこのカメラを好んだ。写真撮影の優先順位が低かったのだ。家族でさまざまなところへ出かけたが、写真の多くはこのカメラで撮られた。しかし、実に、このカメラで撮った写真は画質が悪いのだ。当時のフィルム性能ではハーフサイズには無理がある。このカメラ固有の問題で露出のバラツキも大きい。せっかく72枚も撮れるのに、まともに写っているのはいつも半分くらいであった。幼いころの家族写真はとても残念なものしか残っていない。カンタンでコンパクトであることと、キレイな写真は両立しないことは深く心に刻まれてしまった。当時オリンパスXAがあって、父がそれを手にしていたらと思うと、、

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いま一番よく使うSONY RX100 M3(2014年)と並べてみると外形サイズはほぼ一緒だ。両方とも「カメラ」であることはたぶん誰にでも理解できると思う。しかし映像を記録する、という目的は一緒でも、その動作原理や、映し出される映像は全くの別物だ。両者の共通点は「レンズが付いている」ということと「シャッターボタンがある」ということぐらいだろう。この二つのカメラには40年近い時間の差がある。

こうしてみるとレンズの製造技術を制した日本のカメラ産業がデジタルカメラでも覇権を誇ることがよくわかる。レンズが大切なのだ。オリンパスXAは単焦点レンズだが、最新デジタルカメラは当時は信じられないズーム比と明るさだ。この間の技術の進化はいかばかりのものか。最新のデジタルカメラは光学設計で超えられない限界を画像処理で電子的に解決をする。これはちょっと残念な気もするが、もはやそんなことを問題にするのがおかしいのだろう。

 

2016-05-01 | Posted in Goodbye AgainNo Comments »