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2019-10-25

ジョニ・ミッチエル/HITS (1996年)

ダットサン1200 (B110/サニー) 2ドアセダン(1970~73年)
ビュイック・ルセーバ・クーペ第5世代(1977~85年)

日本車が登場。クルマと音楽を語ってきたこのシリーズで、なんとクルマが人をはねた。ダットサンがジョニ・ミッチェルを”ヒット”。

1996年リリースの彼女のベストアルバム「hits」。まるで事故現場を再現したようなジャケット写真は、アルバムタイトルにひっかけたジョークになっている。アートディレクション、カバーデザインはジョニ・ミッチェル。撮影は数多くのアルバム写真やポートレートで知られるノーマン・シーフ。1枚の写真が多くのことを語る印象的なジャケットだ。

映画いちご白書の「The Circle Game」、ジュディ・コリンズをスターダムに押し上げた「The Both Sides,Now」、自身の最初のヒット「Big Yellow Cab」など初期のヒット曲が収録されているが、本来彼女はそのような商業的ヒットとは無縁のアーティスト。静かにこのアルバムを聴くことで、彼女の世界が深く理解できるような気がする。

ジャケットのクルマはダットサン1200。日本名日産サニー。詳しくいうと2代目B110サニーの2ドアセダンで1970~73年に販売されたモデル。1200ccのA12エンジンを搭載し、国内では「隣のクルマが小さく見えます」のCMで一世を風靡した。隣のクルマというのは1100ccエンジンのトヨタ・カローラ。国内はもとより世界中、とりわけ北米市場で大バトルを繰り広げ、日本車が世界を席巻する原動力となった。小型で燃料効率が良く、高品質で故障しない、とクルマに対するアメリカ人の価値観を転換させる役割を果たした。

意図的にこのクルマが選ばれたのかは定かではないが、撮影時点ですでに車齢25年を超える古くてどこの街にもありふれたクルマ、ということで当時の風景には自然になじむのであろう。右側のビュイック・ルセーバも同様で、フルサイズセダンが73年のオイルショックを受けて一気にシュリンクしたあとの、ごく平凡な少し古いクルマ、として写真に納まっている。

ジョニ・ミッチェル。長い間体調の不良が伝えられていたが、昨年11月の生誕75周年トリビュートコンサートでは久々に姿を見せた。シンガーソングライターの枠にとどまらない偉大なアーティストだ。

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