Nikon COOLSCAN LS-5000ED
人知れずひっそりと市場から姿を消した商品カテゴリー、その一つが「フィルムスキャナー」だ。かつてはニコン、キャノン、ミノルタ、オリンパスなどのカメラメーカーは一般ユーザー向けの製品を数多く発売していたが現在ではすべて消滅した。
一見すばらしい、と思える商品やサービスでも実際に使ってみると問題があり受け入れられない、ということは良くある。フィルムスキャナはその一つの例だ。画質はすばらしい。しかし実際には想像以上に手間と時間がかかり、思ったようにうまくいかないのだ。
家には膨大なフィルムがある。フィルム写真のデジタルスキャンはパソコンの応用として魅力的だ。たくさん撮ったフィルム資産をキレイに残したい、という願望は多くの人に共通だろう。というわけで早い時期からフィルムスキャナを購入して、このモデルは3台目だった。スピードは少しずつで着実に進化していたが、結局最後まで使い勝手は良くならなかった。
古いフィルムは1本1本コンディションが異なる。調整幅の大きな付属のコントロールソフトで完璧なスキャンは可能であるが、フィルム1本スキャンするのに最低でも1時間はかかりっきりになる。1日3〜4本が集中力の限界だ。ずいぶん作業をこなしたが最後は挫折した。スキャンする予定だったフィルムの山は結局近くの写真屋に持ち込んでCD-ROMに焼いてもった。画質は今一つだがセーブされた時間は膨大だ。これは、という写真だけスキャナで取り込むことにした。
現在、海外製や低価格の簡易型フィルムスキャナが販売されているが、低価格のものは画質は良いとはいえない。どうしても家でスキャンしたい、ということであればエプソン、あるいはキヤノンのフラットベッドスキャナにフィルムアダプターを装着してスキャンする方法がある。専用フィルムスキャナより使い勝手は良いが画質は若干落ちる。何よりもスペースを占有し、すばらしく便利、というわけでもないので決定打ではない。
このニコンのスキャナは32bit版のウィンドウズ専用だ。これを動かすためだけに古いウィンドウズ7が動くPCを残し、時々思い出したように必要な写真を処理する。古いフィルムに残された家族との写真は何者にも代えがたい貴重なものだ。
COOLSCAN 5000 ED
発売・2003年11月
価格・オープン(当時12万円前後)
再開を待ちかねていました!fbで流れ去って行く記事をもったいないと思っていました。興味深い記事、楽しみにしております。