アーマッド・ジャマル/ AHMAD JAMAL`S ALHAMBRA (1961年)
シボレー・コルベットC1 1958年
アーマッド・ジャマル。1930年生まれ。今年で90歳だ。2014年の東京JAZZに出演した彼の演奏を聴いた。まさにいぶし銀の風格。改めて作品を聴きなおした。マイルス・デイヴィスにインスピレーションを与え、若き日のキースジャレットが愛聴したピアノ。派手さが全くないところが良い。熱烈なファンも多い。昨年はオリジナルアルバムも発表。流麗で重厚、かつシンプルなピアノは衰えを知らない。
彼はビッツバーグのバプティストの両親のもとに生まれたが、若き日のツアーでイスラム文化に触れアーマッド・ジャマルに改名をしてイスラム教に改宗した。人種問題の激しい1950年代のアメリカ、宗教がその悩みを解消してくれたと語っている。
1961年に録音されたこのアルバムのタイトル、良く見ると、英語の所有格 Ahmad Jamal`s Alhambra~アーマッド・ジャマル「の」アルハンブラとなっている。「アルハンブラ」は彼がシカゴで経営していたクラブの名前だ。ジャケットの写真はその外観。美しい内装。インテリアは中東より輸入された雰囲気あふれるもので、料理も素晴らしかったという。すでに名声を得ていたとはいえ、当時自分の店を持つジャズアーティストは多くない。多忙な彼が地元シカゴに戻っときに楽しんだ演奏。このクラブでは2枚のアルバムが録音されたが、旅するピアニストである彼はそれほど長い期間この店を所有することはなかったという。
長時間露光で流れる赤いテールランプが雰囲気を醸すジャケット写真。中東風外観のアルハンブラの前に停まるクルマは当時のアメリカン・スポーツカーの代表シボレー・コルベット。コルベットは1954年にアメリカ車発の本格的スポーツカーとして登場したが、写真のクルマは4灯ヘッドライト、グリルの9本のグリルのShark’ tooth(サメの歯)、ボンネットに見えるエアアウトレットから1958年型とわかる。こんなクルマでアーマッド・ジャマルの演奏を聴きに行けるのであれば言う事はない。このアルバムはストリーミングで聴くことができる。リラックスしたライブ感あふれる演奏が素晴らしいが、この時代としては音質がひじょうに良いことも指摘しておきたい。
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