ビーチ・ボーイズ / SHUT DOWN VOLUME 2 (1964年)
シボレー・コルベット・スティングレイ(C2) 63年型・ポンティアック・グランプリ 64年型
いきなり「FUN,FUN,FUN」と「DON’T WORRY BABY」でスタートするビーチボーイズ初期の傑作アルバム。タイトルにVolume 2とあるが、実はVolume 1がない。キャピタルレコードが彼らの曲「Shut Down」ともう一曲を無断でコンピレーションアルバムに収録して「Shut Doun」のタイトルで発売したことに対する仕返しのパロディーで名付けたと言う。
ビーチ・ボーイズは数多くのアーティストに多大な影響を与えた。皆その素晴らしさを口にする。しかし自分にとってはビーチ・ボーイズは世代的に少し前で、リアルタイムで聞く機会はほとんどなかった。当時の中高生にはサーフィン文化の縁遠く、何というか、同時代のビートルズほどの普遍性も感じにくかったこともあるだろう。後年村上春樹さんが季刊「ステレオサウンド」誌に掲載したブライアン・ウィルソンのストーリーには深い感銘を受け、代表作と評価の高い1966年のアルバム「PET SOUND」を真剣に聞いたが、最初の取っ掛かりが悪かったのかどうもしっくりこない。何度聞いてもすっきり落ちないのだ。苦手な音楽の理由を語るのは難しいが、ビーチボーイズ、はっきり言って苦手だ。しかし、このアルバムアート、見事な「カージャケ」は避けて通るわけにはいかない。アメリカンな雰囲気が満載の魅力的な写真だ。
クルマはいずれもメンバーの所有。左側はウィルソン兄弟の次男、デニスのシボレー・コルベットC2。アメリカ最初のスポーツカー・コルベットの第2世代。レーシングモデル・コルベットSSのデザインコンセプトを取り入れ、リトラクタブルヘッドライトとリアの分割ウィンドウを採用した画期的なデザインのアメリカン・スポーツだ。右側は彼らのサウンドを決定づける美しいボーカルのウィルソン兄弟3男、カールのGMポンティアック・グランプリ。ポンティアックの平凡なフルサイズカー「カタリナ」を当時の企画担当のジョン・デロリアンがショートホイールベースの上級スポーツカーに仕立て直し大ヒットさせたアメリカンスポーツだ。
1曲目の大ヒット「FUN FUN FUN」ではハイスクールの女の子がダディーのTバード(フォード・サンダーバード)を借り出してハンバーガースタンドによってラジオをガンガンかけながらハイウェイを疾走する。1960年代前半の日本では100%考えられない状況だ。女の子の顔も見てみたいが、娘からサンダーバードを取り上げたダディーもどんな人なのか、興味は尽きない。
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