ジミー・スミス / CRAZY BABY (1960年)
ジャガー XK150 (1957〜61年)
アメリカのエンジニア、ローレンス・ハモンドが生み出した電気式オルガンはパイプオルガンそっくりのサウンドが特徴で、高価なパイプオルガンを設置できない黒人居住区の教会で広く普及した。そしてゴスペル・ミュージックとむすびつく。そのサウンドをジャズのに取り入れて広く世界に知らしめたのがジミー・スミスだ。彼はハモンドによるソウル・ジャズという新しい世界をつくりだした。
ジミー・スミスは1957年からブルーノートで数多くの作品を録音するが、その16枚目(!)のリーダー・アルバムがこの作品だ。見事なカージャケアルバム。あまりにストレートな記念写真的なアングルは少し気恥しい。しかしジャケットの魅力もあるのだろう、このアルバムはブルーノートレーベルの中でも人気が高く、当時ジャズ喫茶などでもひじょうによくかかっていたと言う。
クルマは当時のジャガーの最新のフラッグシップ XK150。写っている女性はモデルのマリオン・ベーカー。クルマと女性はアルバムの中身とは直接関係ないようだ。アルバム・デザインはブルーノート作品を一手に手掛けているリード・ウルフとクレジットされているが、カメラマンはいつものフランシス・ウルフではない。ブルーノートらしくない、即物的とも言える異質なデザインはそのせいかもしれない。
このアルバムはハモンド・オルガンとドラム、ギターのトリオだ。ジミースミスはインクレディブル・ジミー・スミスと呼ばれ、このアルバムジャケットにもそう書かれているが、こんな小さな構成とは思えない世界が広がり、まさに信じられないサウンドだ。グルーブ感あふれる演奏に引き込まれる。
前回 キャデラックとともに写るロニー・スミスの作品を紹介した。これもブルーノート・レーベルだ。録音は10年後の1970年。同じハモンドB3によるソウル・ジャズ。ロニーが10年前のこのベストセラー・アルバムを意識していないとは考えにくい。最新のクルマと女性。ロニーのアルバムはその70年代流の解釈、あるいはオマージュなのかもしれない。
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