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2019-12-06

ニッケルバック/ALL THE RIGHT REASONS(2005年)

フォード・サンダーバード 1959~60年Square Bird

オーディオ装置の試聴では派手なロックはあまり選曲しないのが普通だが、ニッケルバックを再生するとリスナーの反応が違う。こういう曲がいいんですよ、という人はとても多い。日本での一般的な知名度はいま一つなので。初めて聞いて衝撃を受けて一生懸命メモや写真を撮ったり、実はファンですと熱く語りはじめたり、陶酔状態になって我を忘れる人までいた。長い間オーディオの仕事を続け、様々な曲を再生してきたが、ニッケルバックにまつわるエピソードが一番印象深い。

カナダのスーパーグループ「ニッケルバック」2005年の作品「ALL THE RIGHT REASONS」。このアルバム売上はアメリカだけで1,000万枚以上売れ、7曲がシングルカットされチャートをにぎわせた。ニッケルバックの魅力は シンプルな構成、 確かな演奏技術、ち密に組み立てられた完成度の高さにある。このアルバムはデビュー9年目、7枚目の超ベストセラーアルバムだが、その後の作品に比べてまだ粗削りな部分もある。2011年発売の9枚目のアルバム「Here and now」は一つのピークで、楽曲構成、サウンドともに大きく進化した。オーディオ装置の試聴にはこちらの方が良い。サウンドが耳に刺さらない。

カナダの夜明けのハイウェイを疾走する漆黒のクルマは1958~60年のフォード・サンダーバード。初代のヒットを受けて4シーターとなった第2世代だ。サンダーバードはスポーティーなパーソナルカーとして当時のアメリカで人気を博す。ビーチ・ボーイズが「Fun fun fun」でダディのクルマでハンバーガースタンドに行ったのがバレて Tバードとりあげられちゃった、と歌ったサンダーバードはこの一世代あとのモデルの可能性が高い。サンダーバードはアメリカ南西部のネイティブアメリカンが信じる伝説の巨鳥の名前だ。

ニッケルという重金属の名前が入ったバンド名の由来は実に意外だ。メンバーがスターバックスのバイト時代によく使った「Here`s your nickel back ~はい、5セントお釣りです」から来ているそうだ。Nickelはもちろんニッケル硬貨。この落差が何とも言えない。イカツイ4人組に見えるが実はスタバでバイトしていたやさしいお兄さんだったのか。

この何ともいえない優しさと、ち密で完成度の高い音楽というのはロック・ミュージックにとっては諸刃の剣で、彼らは「アンチ」が多いバンドとしても知られている。人気と成功ゆえの反発かもしれないが、カナダのある州警察が飲酒運転撲滅キャンペーンで捕まえたら免停、罰金、刑事告発に加えて刑務所行のクルマの中でニッケルバックを聴かせるぞ、とTVで発言して話題になったりしたそうだ。

彼らは正確に3年ごとにニューアルバムをリリースしている。最近はメンバーそれぞれの単独活動も多い。楽曲が予定調和的というか、パターン化しているように見えるのも「アンチ」に突っ込まれる部分かもしれない。予想では来年がニューアルバムの年。圧倒的にステップアップしたニューアルバムを期待している。

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