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2020-02-22

松任谷由実 / VIVA! 6×7 (2004年)

アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー /ポルシェ 356A

まるで古いイタリア映画のポスターのようなアルバムジャケット。登場するクルマは真っ赤なアルファロメオと漆黒のポルシェ。いずれも1950年代ヨーロッパを代表するモデルだ。2004年、松任谷由美の33枚目のアルバムアートは楽曲、そして松任谷正隆氏のアレンジと同じく完璧な仕上がりだ。

左のアルファロメオは1955~62年のジュリエッタ・スパイダー。右のポルシェは水滴型のテールランプとバンパーの位置より1958~59年の356A、ライナーノーツにはクルマのオーナー名とともにコーディネーターとしてカーグラフィック誌の河村昭さんの名前が記されていて国内で手配されたことが分かる。松任谷正隆さんの人脈がフルに発揮されたということか。ジュリエッタも356も日本人が大好きがクルマだ。アートディレクションは信藤三雄氏。 1000枚以上のCDジャケットを手掛けた信藤三雄氏のWEBページにはその作品がちりばめられていて素晴らしいが、なぜかこのアルバムは掲載されていない。 ttp://www.snd320.net/

このアルバムはヒット曲が含まれているわけではなく、彼女の作品としては地味な存在だが、実に彼女らしい完成度の高い秀作。主にアメリカでレコーディング/マスタリングされた瑞々しいボーカルが魅力。今あらためてじっくりと聴いてみたい作品だ。

アルバムのライナーには、何箇所か重ねて「VIVA 6×7 Contains 10 Songs」~10曲入っている、と繰り返し書かれている。アルバムは全部で11トラックあるが、最初の「プロローグ」は20秒の映画風のダイヤログだ。それを除いた10曲それぞれが、まるで短編映画のように情景が鮮明に浮かぶストーリーを持っている。6×7は60~70年代に写真をやっている人なら知っているブローニー・ロールフィルムの画面サイズ6×7 cm判のことを言っているに違いない。120タイプ・ロールフィルムはちょうど10枚の撮影が可能だ。しかしブローニーフィルムは写真専用で映画に使われることはない。

ブローニー・ロールフィルムは6cm幅のスプールに裏紙とともにフィルムを巻き付ける。60年代にポピュラーな2眼レフカメラでは正方形の画面で12枚の撮影が可能だが、少し大きく横長の6×7cmサイズのカメラでは撮影可能枚数は10枚。1本のフィルムで36枚撮影できる35mm判よりはるかに画面サイズが大きく美しい写真が撮れる。ロールフィルムの入れ替えはたいへんだ。必然的に1枚1枚、渾身の力をこめて丁寧に撮影する。このアルバムにはそんなイメージを投影したのだろうか。

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