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2020-03-01

B.B.キング&エリック・クラプトン/RIDING WITH THE KING (2000年)

キャデラック・デヴィル( de Ville ) 第3世代(1965~70) コンパーチブル

ミスター・クラプトンにゴージャスなオープンカーを運転させて、自分は真っ白なレザーの後席目いっぱい使って気持ちよく風に吹かれる。このアルバムジャケットの衝撃は忘れ得ない。B.B.キング&エリック・クラプトン、2000年のアルバム「RIDING WITH THE KING」。しかしタイトルにあるようにクラプトン側から見ると王様と一緒にクルマに乗っている、ということになる。

タキシードに彼自身に分身でもあるギブソンES-335。このカバーデザインは1曲目のタイトルトラックの歌詞をそのまま表している。約束の地ではみんなキャデラックと大きなダイヤの指輪が手に入る。彼の顔を見ろ。ブルースは嘘をつかないぜ。

クルマはキャデラック・デヴィル。キャデラックといえば50年代の大きなテールフィンの2世代目か、オイルショック前の無邪気であくまでも豪華なこの3代目がいちばんキャデラックらしい。まさにアメリカ文化を代表するクルマだ。三角窓がついているのは3代目まで。以前に紹介したブルース・スプリングスティーンの「TUNNEL OF LOVE」のクルマと全く同じタイプだ。キャデラックとダイヤのリングは成功の象徴をあらわす慣用句だ。

しかし、ここはどこなのだろうか。実に気持ちよさそうなB.B.キング、二人の笑顔が素晴らしい。どこを走っているのかロケーションが気になる。エリッククラプトンはドラッグから立ち直り、ちょうどこのアルバム制作の少し前にカリブ島にアルコール/ドラッグ患者の厚生施設「クロスロードセンター」を建設して資金確保のために105本のギターを手放した。日本の道路交通法であればたぶん彼はクルマの運転はできないのでは、、教習所で免許取り直したのか、などと思ったが、ハッセルブラッドでこの写真を撮影したロバート・セブリのブログによると、撮影はワーナーピクチャーズの敷地内で、カメラトラックを並走させて行われたそうだ。彼のブログにはクラプトンがタクシーの運転手のように帽子をかぶっているバージョンも掲載されている。キングが「王様である」ということを明確にする意図であったが結局これは採用されなかった。

リラックスした演奏が心地よい。二人のボーカル、掛け合いは見事。まさに王様と神様だ。選曲のセンスも素晴らしく、バラエティーに富んだ楽曲で2人のギターとボーカルを堪能できる。しばしブルースの世界に浸るのは悪くない。

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