ブロンディー / PLASTIC LETTERS (1978年)
プリムス・フューリー1 (第5世代・1976年)
ニューヨーク市警のプリムスのパトカーのバンパーに座るデボラ・ハリー。アーニャ・フィリップスがデザインしたピンクのドレスは鮮烈だ。74年から導入されえた巨大な5マイル・クラッシュバンパーは座り心地が良さそうだ。暗い倉庫街での麻薬取引現場か、と思わせる怪しい雰囲気。当時のニューヨークの治安は混とんとしていた。時代を顕すワンショットだ。
「PLASTIC LETTERS」。ブロンディー2枚目のアルバム。「HEART OF GLASS」で一大ブレークをする直前の作品だ。初期のブロンディーの、50~60年代ポップスを出発点に時代のテイストをミックスさせた音楽は今聞いても新鮮だ。次のアルバムで鮮烈で洗練されたディスコ路線に移行するわけだが、その直前のまだ粗削りで素朴ながら爆発直前のエネルギーに満ちた作品だ。
このアルバムは1994年と2002年にデジタル・リマスターされているが、2002年版にはボーナストラックとして「HEART OF GLASS」の原曲のデモバージョン「ONCE I HAD A LOVE」が収録されている。これはあのヒット曲とは全く異なるアレンジで、その対比は印象的。オリジナルのアレンジでは世界的ヒットにはならなかったのは間違いないが、これは後から聞いて納得する話。音楽性だけではない。斬新なアイデア、時代性。これらがすべて合致してヒットが生まれる。これは音楽配信を含めて現在手に入るバージョンには収録されているので一聴の価値がある。
NYPD(ニューヨーク・ポリス・デパートメント)カラーの4代目プリムス・フューリー。これはパトカーやタクシーに大量に売れたクライスラー・プリムスディヴィジョンのベストセラーカーだ。個人向けのグレードも用意されていたが、実際には買う人はほとんどいなかった。このジャケットの丸目2灯式のヘッドライトは76年までで、77年のマイナーチェンジでタテ目4灯になる。とにかくこの車は70年代半ば~80年代のアメリカの風景の一部で、当時のアメリカ映画のカーチェースシーンには必ず登場するといってもよい名脇役だ。ここでもクルマは多くを語っている。
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