キヤノンボール・アダレイ / SOPHISTCATED SWENG (1957年)
メルセデス・ベンツ 300S ロードスター 1952年~
キヤノンボール・アダレイ 1957年の作品。代表作「SOMETHING ELSE」の1年前の録音だ。エマーシー・レーベル、モノラル録音。弟のナット・アダレイと共演。1曲目のイントロからいきなりファンキーなノリで熱い。まさにタイトルがあらわすように洗練されたハードバップ一直線の名作。洗練された演奏技量。だが、やはりこのジャケットの印象が強烈だ。このアルバムには有名な曲が含まれていないので隠れた名盤といえるかもしれない。
ジャケットの洗練されたクルマはメルセデス・ベンツ 300S。これはたいへんなクルマで、第二次大戦で壊滅的な打撃を受けたドイツの復活を世界に宣言するランドマーク的な工業製品だった。デビューは1952年。ジャケットの赤いモデルは後年に発売されたロードスターだが、ベースとなるセダンはわが国の天皇家をはじめ、ローマ法王、各国元首の公用車として採用された。ほとんど手作業で作られ、アメリカのキャデラックを超える世界最高峰のクルマ。そんなところから素敵な女性とともにジャケットに採用されたのだろうか。
キヤノンボール・アダレイは46才の若さで没した。”大食い”から名付けられたというその名前と愛嬌あるルックス、そしてジャズ入門~いや、モダンジャズの代用作として有名なアルバム「SOMETHING ELSE」で注目されるが、その実力は超一級だ。「SOMETHING ELSE」ではゲストのマイルス・デイビスの「枯葉」名演があまりにも有名で、1曲目冒頭でリーダーを食ってしまうマイルスの大物感にもびっくりだが、またそれを許すキヤノンボールの人間性が垣間見られていいなあ、と思う。ジャズを聴きはじめる前の高校生のころ、キヤノンボールの訃報の記事を見た。強烈な名前と人間味あふれるプロフィールは強く記憶に残り、その後レコードを手にすることになる。愛すべき名アルトサックスプレーヤーだ。
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