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2020-08-02

ザ・クルセイダーズ / STREET LIFE (1979年)

キャデラック フリートウッド・ブロアム 1977年型

歌手ランディ・クロフォードはこのアルバムのファースト・トラック「ストリート・ライフ」で一躍世界的なシンガーになる。この曲は短いラジオ・エディットではなくアルバムバージョンで聴きたい。11分18秒。盛り上がりにつれてどんどんスピードが速くなる。スティックス・ホッパーのドラムが冴える。最近の曲ではあまり聞くことができない展開だ。そして2分を超える長いエンディングで余韻を残すようにクールダウンして静かに終わる。ラジオ・エディットではフェードアウトだ。引き込まれるストーリー展開。このアルバムでボーカル曲はこの1曲だけ。ザ・クルセーダーズにとってボーカル・ナンバーはこれが初めてだ。そして歴史に残る名作となった。

ビバリーヒルズの高級ショッピング街ロデオ・ドライブに乗り付けるキャデラックのリムジン。運転手に導かれて後部座席から降りる真っ赤なドレスの当時まだ新人のランディ・クロフォード(だと思う)。彼女はこちらに視線を投げかけている。手前にはにこやかなメンバー。左からスティックス・ホッパー、ウィルトン・フェルダー、そしてジョー・サンプル。創設メンバーのウェイン・ヘンダーソンとラリー・カールトンは脱退したあとだ。名マルチプレーヤー ウィントンは2015年に、そしてジョー・サンプルは2014年に世を去った。

長い間、何となくこの写真はコンサート会場前でこれから音楽を聴くか演奏するところだと思っていた。しかしそれは違った。写真にRODEO DRIVEの標識がある。ここはビバリーヒルズの中心部。高級ショッピングエリア、ロデオ・ドライブ 北409番地。コンサート・ホールには場違いな場所だ。

この場所、ロデオ・ドライブN403はリチャード・ギア主演の映画「アメリカン・ジゴロ」(1980年作品)で、ゴージャスなメルセデス450SLで乗り付けてショッピングに降り立つまさにその場所だ。リチャード・ギア演じる映画の主人公はメンバーが立っている場所にあった「JUSCHI(ジュスティ)」で夫人にアルマーニのスーツを買ってもらう。右端のジョー・サンプルの頭上に見える白い切り欠きのある壁面は「KURT GEIGER OF BOND STREET(カート・ガイガー)」。ファッションブランドの入れ替わりは早いのだろう。いずれも現在はここにはない。この場所は今はブルガリとシャネル。まさにロデオ・ドライブの中心地だ。

写真では良く見えないが、このクルマは特徴的なリアのタイヤハウス形状、リアピラーとトランク部の接合形状、そしてリアピラーに見えるアクセサリより1977年型キャデラック・フリートウッド・ブロアムであることが分かる。キャデラックの中ではリムジンほどフォーマルではないが、下のクラスのデ・ヴィルやセヴィルよりはグレードの高い、フォーマル性の高いクルマだ。

「ストリート・ライフ」という言葉からは、着の身着のままの路上生活という意味が思い浮かぶ。しかしジャケットにはその対極にあるゴージャスなストリート。ジョー・サンプルは「ストリート・ライフ」のもともとの意味に加え、自分がなりたい姿、自分が見てもらいたい姿に着飾って、スーパースターのように雑踏のストリートを歩く虚飾の人生、を重ね合わせて表現しようとした。ランディー・クロフォードはその意味するところをを奔放に歌い切る。

ランディ・クロフォード。ジョージア州生まれ。早くから歌手として実力を認められ、このアルバムの前年にはワーナーブラザースからアルバムを出している。そしてこのビッグ・チャンスで世界的なシンガーになる。しかしこのアルバム、どうしてもストリート・ライフ以外のナンバーが忘れられがちだ。いずれも佳曲そろいの名盤だ。3曲目にはジャケット写真の「RODEO DRIVE」というナンバーがある。「ストリートライフ」と重ね合わせて聴くべき心惹かれるトラックだ。ラリー・カールトンを擁して80年代に一大潮流となるフュージョンミュージックの源流となるザ・クルセイダーズ。少し懐かしさを感じるサウンド。しかしその魅力は今でも色褪せることは全くない。

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