ライ・クーダー/ INTO THE PURPLE VALLY (1972年)
ビュイック・スーパー 2ドアコンバーチブル (1941~41年)
ライ・クーダーの最も初期の作品、1972年、2枚目のアルバムだ。彼らしい音楽性とギターテクニックにあふれる名作。アメリカン・ミュージックの深淵に触れる作品だ。
クルマに乗っているのはライ・クーダーとスーザン・タイトルマン夫妻。スーザンは写真家としても知られている。クルマは1940~41年のビュイック・スーパー /シリーズ50の2ドアコンパチブル。隣人から借りてきたものだそうだ。
まるで映画の1シーンのようなアートワークだが、実際これはLA郊外バーバンクのワーナーブラザースの撮影所でレインマシンを使って撮影されたものだ。激しい雨に不安な様子の二人。ところが裏ジャケットは一転青空で2人実に楽しそうな表情だ。インナージャケットは、目的地であろか、キャンディーショップの前に二人並んだ姿。ビュイックの美しいサイドビューが見られる。なぜか後輪はパンクしてしまった。
このアルバムのアメリカンミュージックのルーツに迫るコンセプトにも重なる古いアメリカ車がセレクトされたが、製造された1940年とういうのはもちろん戦前。日本では戦前と戦後は全く別の世界であるが、アメリカはそのような区切りがあろうはずがなくひとつながり。第二次大戦もその他の歴史のイベントと同じひとつのエピソードだ。このビュイックは撮影時点で30年落ちになるが、そもそも日本で戦前のクルマを持ってくる、なんてことはほぼ不可能で、やはりアメリカの当時の圧倒的な工業力を想い知らされる。
他の人がどうやってレコードを売ろうか躍起になって考えている一方で僕はどうしたらもっとうまいプレーヤーになれるかだけを見出そうとしていた、、 ふとした瞬間に「誰がこんなものを必要とするんだ?」って感じることがある。そんな時は思いとどまって実感する。「僕が必要とするんだ!」
これは彼自身が語った言葉だ。ライ・クーダー。音楽の求道者。スライドギターの名手。彼を語る言葉は何がふさわしいのだろうか。
日本ではパイオニア・スポンサーのFM東京の番組、あるいはTVCMをきっかけにライ・クーダーに触れた人は多いはずだ。名優ウォーレン・オーツを起用したパイオニア・コンポーネントカーステレオ・ロンサムカーボーイのTVCMの音楽がライ・クーダーだ。ウォーレン・オーツが急逝後はライ・クーダー自身が出演した。一連のこのCMはパイオニア宣伝部の故加藤美久さんが広告代理店 ライトパブリシティーとともにつくりあげた。この話はまた機会があれば触れたい。
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